2.212016
日銀のマイナス金利政策導入で、住宅ローン金利が一段と下がりそうだ。ただ金利低下のメリットを生かそうと変動金利でローンを組むと、将来の金利上昇で返済負担が膨らむリスクも抱える。低金利の今こそ、変動金利よりも利率が高い固定金利で借りるメリットが大きくなっていると指摘する専門家もいる。
日銀は2013年4月に量的・質的金融緩和を導入し、大量の国債購入で長期金利を引き下げてきた。1月のマイナス金利決定で長期金利はさらに低下し、マイナス水準を付けた。
この流れを受け、民間金融機関の住宅ローン金利も低下している。3メガバンクの新規顧客向け住宅ローンは変動金利型が年0.625%と過去最低。住宅金融支援機構の長期固定ローン「フラット35」の金利も下がりそうだ。返済期間35年以下(融資率9割以下)の取扱金融機関の最低金利は年1.48%だが、3月に過去最低の年1.37%を更新する可能性がある。
住宅ローン利用者が利率の低い変動金利を選ぶ傾向も強まっている。だが住宅ローンアドバイザーの淡河範明氏は「固定金利がここまで下がると、将来の金利上昇リスクを取って変動金利を選ぶ利点は小さい」と指摘する。
グラフはフラット35の固定金利と金融機関の変動金利を比べたものだ。固定と変動の金利差は過去の平均値を大きく下回っている。これは固定金利を選んだ場合、変動金利を選んだ場合よりも余分に支払う額が小さくなっていることを示す。
例えば期間35年で4000万円のローンを組んだ場合で見てみよう。変動金利0.625%で借りた場合、毎月の返済額は10万6059円。一方、フラット35(1.48%)で借りた場合は12万3千円になる。単純計算では毎月1万7千円ほどの差が金利上昇リスクを避けるためのコストになる。省エネや耐震性が高い住宅を購入する場合に当初10年間の金利が下がるフラット35Sを利用した場合は、この差がさらに縮まる。
変動金利は当初の支払額が低いものの、金利が上昇した場合は固定金利で借りた場合よりも返済額が膨らんでしまうリスクがある。仮に4年後に適用金利が2%に上がった場合は毎月の返済額が12万2千円程度、3%まで上がった場合には13万9千円程度に上がってしまう。
もちろん金利が上昇するとは限らない。日銀はマイナス金利導入後も必要であれば追加緩和も辞さないとの姿勢を示している。ただ日銀が目指す2%の物価目標を達成し、その後に金融緩和を縮小すれば、金利が上昇に転じる可能性がある。
「変動金利で借りることは、将来の非常に大きなリスクを取る行為だ」と指摘する。金利上昇による返済負担の増加で家計の赤字が常態化すれば、最悪の場合はせっかく買った家を失いかねない。もし固定金利の返済負担が重いのであれば、借入額自体が過大ではないかを見直す必要がある。
「人生最大の買い物」である住宅の購入で後悔しないように、余裕を持った返済計画で臨むことが肝要だ。
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