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相続に関する遺留分が消える!! 信託ならできる特殊な資産承継!!

遺言を書くのが一般的な時代になりましたが、多くの人にとって頭を抱える問題が、一定の相続人に最低限の相続財産を保証する「遺留分」の存在だと思います。今回は、「家族信託で遺留分が消える」というテーマを取り上げます。

 

■「遺留分は無視してほしい」

「遺留分を請求されないように資産を承継したい」と希望する人は少なくないという

私が公証人時代、遺言を書こうとする相談者から「遺留分を考えない遺言にしてほしい」という依頼をよく受けました。遺言は特定の相続人の遺留分を無視する内容でも作成できますし、無効ではありません。

それでも私は「念のため、『この遺言について相続人から遺留分減殺請求(遺留分を侵害された相続人が遺言の効力を失効させ、最低限の持ち分を要求すること)があった場合には代償金で支払う』という文面を入れませんか?」と勧めることにしていました。後々、相続人同士のトラブルに発展するのを防ぐためです。しかし、それを拒否されることが多かったのが事実です。

遺留分という権利は強力です。兄弟姉妹以外の相続人には、法で認められた相続財産の最低限の分配を受ける権利があるのです。遺留分を請求するか否かは任意ですが、今ではほとんどの場合、請求される時代になったと思います。従って、「うちの子に限って遺留分など請求しませんから大丈夫」という話は、今やたわ言のようなものなのです。

では、家族で受け継いできた先祖代々大事にしている土地や建物を、「家督相続」させたい場合はどうすればいいのでしょうか。土地・建物だけでなく、自社株式を後継者にだけ、連続して相続承継させたいという希望も、少なくありません。

■減殺請求ができない資産の承継

かつては、そのような仕組みは難しいと申し上げていましたが、家族信託制度を究めるうちに、「遺留分が消える」遺言信託や信託契約ができることがわかってきました。ある事例を紹介しましょう。

Sさんの先祖は、言い伝えによれば、江戸に幕府が開かれた際、徳川家康に同行して移住し、多摩川の隣接地区に広大な土地をたまわりました。現在でも、先祖代々の預地(たまわった土地)として、土地の多くを「家督相続」し、守ってきました。Sさんは、これを長男のAさん、さらにAさんの長男Cさん、そしてCさんの長男Eさんに承継させたいと考えています。

Sさんには妻Yさん、子どもは長男Aさんと長女Bさんがいます。長男Aさんには長男Cさんのほか、長女Dさんがいます。妻YさんはSさんの資産承継の考えに賛成しています。Sさんが所有する土地は、自宅のほかマンション用地、駐車場等として利用しているほか、長女Bさんが自宅を建築する際に無償貸与した土地(200平方メートル)で構成されています。

新しい信託法(91条)では、「受益者の死亡によって他の者が新たに受益権を取得できる信託の特例」という定めができました。「後継ぎ遺贈型受益者連続信託」というものです。これをSさんの事例に当てはめてみます。

Sさんは預地を管理する法人を設立、法人を受託者にし、自らを受益者とする信託契約を設定しました。Sさんが死亡後は、相続人である長男Aさんが元本受益権を取得します。そして、長男Aさんが死亡すると、今度はSさんがあらかじめ指定した受益権の新たな受益者Cさん(Aさんの長男)が第3受益者となります。さらに、Cさんが亡くなると、やはり、Sさんが指定しておいたEさん(Cさんの長男)が第4受益者になるのです。

■受益権が逆流

まるで滝が逆流して水が上っていくように、受益者が死亡すると、受益権はいったんSさんの元に戻るというのがポイントです。

ただ、Sさんから長男Aさんへ相続、つまり第1次相続については、長女Bさんに遺留分の権利が生じます(当然、妻のYさんにも遺留分の権利はありますが、Yさんは家督相続に賛成しているため、ここでは考えないことにします)。しかし、その後の第2次相続以降は遺留分の権利は生じません。

Aさんが死亡すると、受益権はいったんSさんに戻るため、Aさんの子供に遺留分を請求することはできなくなるのです。長男AさんからAさんの長男Cさん、そしてCさんの長男Eさんへ、遺留分を考えずに家督承継ができる仕組みが作れるわけです。

先ほども書いたように、Sさんの長女Bさんには遺留分を請求する権利があるため、このケースでは、本来、Bさんには遺留分に相当する収益受益権を与え、Bさんが死亡したときにこれをSさんに戻すという仕組みが一般的です。この事例では、すでにBさんに自宅敷地を無償貸与しているため、この土地と金融資産を相続させることで解決しました。

このように先祖代々受け継いできた土地については、分割相続はせず、長男もしくは長女が受け継いでいくというルールを持つ家もあります。その際、この後継ぎ遺贈型受益者連続信託を使うのも、一つの手段といえます。ただ、この信託を使うには期間等のルールがありますので、専門家に相談して活用してほしいと思います。

 

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