3.242016
◆2016年の公示地価は全国平均で8年ぶりの上昇に転じた◆
訪日客の「爆買い」などで都心の商業地の収益性が高まったが、日銀の金融緩和で押し上げられた面もある。
07年からの前回の地価上昇局面はリーマン・ショックが直撃し、2年の短命に終わった。今回の地価上昇は本物なのか注目分野を点検した。
銀座、東京駅前、渋谷、新宿、虎ノ門
都内ではデベロッパー各社の大規模再開発が相次ぐ。これらの地域では老朽化したビルが次々と建て替えられていく。
国内有数の繁華街である銀座地区は16年の公示地価で、すべての調査地点で上昇率が1~2割台を記録した。
同地区の数寄屋橋交差点前には31日に大型商業施設の「東急プラザ銀座」が開業。
松坂屋銀座店の跡地には新たな商業施設が来年1月末に完成する予定だ。
東京駅前では三菱地所が昨年8月、同駅周辺では最大の再開発「常盤橋街区再開発プロジェクト」に着手すると発表。
地上61階、地下5階の約390メートルの超高層ビルになる。周辺では三井不動産が地上45階建て、東京建物は同54階建てビルをそれぞれ建設する。
東京駅近辺では地価が7%程度上昇したが、依然としてオフィス需要が強い。
郊外ではアウトレットなどの商業施設や大型物流施設の建設が地価上昇の要因になっている。
公示地価は1月1日時点の調査。日銀が同月29日にマイナス金利政策の導入を決定した後、市場金利が大幅に低下した。
不動産投資信託(REIT)は銀行借り入れや社債で資金を低利で調達できるようになり、投資マネーが一段と不動産市場に向かい始めている。
日本リテールファンド投資法人は3月、東京・銀座の商業ビルを130億円で取得した。年間賃料収入を取得価格で割った利回りは約3%にとどまる。
REITは一般的に5%程度以上の物件を購入する傾向にあり、今後の賃料上昇や物件価格の上昇を見込んでいる。
「ブランド力の高い場所の物件を組み入れると海外投資家の資金が集まりやすい」
REITは今月だけで京都市中心部の河原町通り、大阪市の心斎橋筋北商店街にある商業ビルも相次ぎ取得。関西にも手を広げている。
一方、ヒューリックリート投資法人は今月11日、新投資口の発行(増資)で約300億円を調達すると発表した。
増資は1年4カ月ぶりで、REIT市場の活況をみて攻めの姿勢に転じた。東京・日比谷の商業ビルなどの取得にあてる方針だ。
不動産大手やREITは都心の商業地に強気な姿勢を崩していない。
一方で、不動産業界では「あくまで収益が見込める選別投資が大前提で闇雲に地価が上がることはない」との声も聞かれる。
金融庁は日銀のマイナス金利政策の下で、地銀などが不動産やREITへの融資などに傾斜しないか注意を払い始めた。
実体経済を反映した地価上昇か、金融緩和マネーがバブルの芽を育て始めたのか。その見極めが重要になると思われる。
Copyright © 株式会社ファスト All rights reserved.
この記事へのコメントはありません。