4.222015
2~5メートルの浸水が予想されている土地に住宅を建て、その後、集中豪雨に見舞われたらどうなるだろうか。ましてや地下や半地下付きの住宅を建ててしまったら――。実際に街を歩くと、こうした場所にも住宅が建っていることに驚く。
■内陸でも洪水はある
洪水といえばどうしても海沿いや河川沿いをイメージしがちだが、内陸部、例えば武蔵野台地の厚いローム層に覆われた洪積台地上にあり、平均的な海抜は40~50メートル程度ある東京都杉並区なども無関係ではない。「杉並区洪水ハザードマップ(浸水予想図)」を見れば一目瞭然だ。この洪水ハザードマップは2005年9月4日の集中豪雨で想定外の区域で浸水被害が発生したのを受けた改訂版で、集中豪雨が発生した際の洪水予測だ。黄色部分で20~50センチ、青部分ではなんと2~5メートルの浸水が想定されている。河川沿いは低地なので容易に浸水が予想できるが、注意したいのは、河川から離れている場所でも浸水が予想されていることだ。これはなぜか。
■内水と河川の氾濫で大きな被害
一般的に都内の排水設備は時間当たりの雨量50ミリを想定して整備が進められている。ところが昨今のいわゆる「ゲリラ豪雨」と呼ばれるものは、時間当たり雨量が100ミリを超えることも少なくない。このような排水能力を超える事態に見舞われた際、下水や排水路から水があふれだし、周辺の土地に比べて相対的に低い所に水が集中するのだ。05年9月、杉並区では時間雨量110ミリを超える集中豪雨が発生。内水氾濫と河川の氾濫による水害が並行し、大きな被害がもたらされたのは記憶に新しい。むろん、こうした状況を受け、杉並区にかぎらず各所において随時、対策は進められている。例えば渋谷区恵比寿南3丁目、恵比寿西1丁目付近では、過去に多くの浸水被害が発生したのを受け、15年度の完成をメドに浸水対策事業として、雨水貯留管新設工事が行われている。
■各種情報を一元管理するシステム稼働
ところで、不思議なことに、こうした浸水可能性地域は、そうでないところと比べて、地価にさほど違いがないことが多い。というのも、浸水や土砂災害など防災等の情報や過去の取引履歴をはじめとする各種不動産情報は、国、都道府県、市区町村、法務局、上下水道局など多様な情報保有主体に分散しており、個別の物件に関する情報を幅広く調べることが困難なためである。だが、こうした状況にもやがて変化が訪れそうだ。防災情報や各種の不動産情報を一元化した「新住宅情報システム」のプロトタイプが既に完成、国土交通省が横浜市と連携し、システムを活用した実証実験を今年度からスタートする。試験運用・検証の後早ければ18年から本格運用になり、対象地域を順次拡大する見込みだ。このシステムが本格的に動き出せば、ハザードマップなどの行政情報はもちろん、道路などのインフラ整備状況、不動産の取引価格に至るまで、物件に関する情報が一元化される。浸水実績やその可能性のある地域とそうでない地域が明確化され、両者の資産性におのずと差ができるのは明らかだろう。
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